チームの運営にProposal制度を取り入れた話

目次

はじめに

こんにちは、渡部龍一です。私が所属しているSREチームではこれまでチームとしての意思決定を行う際に特定のフォーマットに残すという取り決めを行なってきませんでした。そうするとNotionだったりGitHub上のドキュメントだったりと決まった内容を確認する際に探す手間があるという状態でした。そのような課題を改善したく「Proposal制度」というのをSREチームへ導入してみました。

今回は、私たちのチームがどのようにしてProposal制度を導入し、それがどのようにチームの運営に影響を与えたかについてお話ししたいと思います。

Proposal制度の概要

Proposal制度は、チーム内の全員がチーム運営やシステムに対してのプロポーザルを提出できる仕組みです。プロポーザルはドキュメントとしてまとめられ、以下の要素を含む必要があります。

  • 提案の背景と目的
    • なぜこの提案が必要なのか、その背景と目的を明確にします。
  • 具体的な提案内容
    • 提案の詳細な内容を記述します。これには、実行手順や必要なリソースも含まれます。
  • 期待される成果
    • 提案が実現された場合に期待される成果やメリットを具体的に示します。

またフォーマットには入れていませんが個人的には以下のような観点も考慮しつつ書いていたりします。

  • リスクと対策
    • 提案に伴うリスクと、そのリスクを軽減するための対策を記載します。

SRE的な観点からのProposal制度

SREの視点から見ると、Proposal制度は以下のような利点があります。

  • 信頼性の向上
    • 提案を通じて、システムの信頼性を高めるための新しい方法やツールを導入することが可能になります
      • 例) 新しいモニタリングツールの導入や、インシデント対応プロセスの改善
      • 例) SLI/SLOに関する変更やSLO違反した際の運用方法の改善案
  • プロアクティブな改善
    • SREの基本原則であるプロアクティブなシステム改善を促進します
    • プロポーザル制度により、問題が発生する前に改善策を講じることができます
  • 知識共有とチームの成長
    • 提案を通じて、メンバー間での知識共有が進み、チーム全体のスキルと知識が向上します。
    • 特に、SLO(Service Level Objective)やSLA(Service Level Agreement)に関する提案は、信頼性の高いシステム運用に直結します。

提案の流れ

  • 提案の提出
    • メンバーがプロポーザルを作成し、決められたフォーマットでnotionに提出します。
  • レビューとフィードバック
    • 提出されたプロポーザルは、関連メンバーによってレビューされ、フィードバックが提供されます。
  • ディスカッション
    • プロポーザルの詳細を全員でディスカッションし、意見を交換します。このプロセスで提案が改訂されることもあります。
  • 意思決定
    • 最終的な意思決定は、チーム全体の合意に基づいて行われます。場合によっては投票を実施することもあります。
  • 実行とフォローアップ
    • 承認された提案は実行に移され、進捗状況が定期的にフォローアップされます。

導入後の成果

Proposal制度を導入してから、以下のような成果が見られました。

  • メンバーのエンゲージメント向上
    • 提案制度により、全員が積極的に意見を出し合うようになり、チームのエンゲージメントが向上しました。
  • 意思決定の透明性
    • 提案のプロセスが明確になったことで、意思決定の透明性が確保され、メンバーの信頼感が増しました。
  • 創造的なアイデアの増加
    • 多様な視点からの提案が増え、創造的なアイデアが生まれるようになりました。

課題と今後の展望

もちろん、Proposal制度にも課題があります。提案の質を保つためのレビュー体制の整備や、プロポーザルの実行に必要なリソースの確保などが課題として挙げられます。また数が多くなることで運用のために把握しておくべきことが増え続け運用コストの増大に繋がってしまうというという課題も挙げられます。しかし、これらの課題を解決することで、より良い制度に進化させていきたいと考えています。

今後は、提案の評価基準を明確にし、より効率的なレビュー体制を構築することを目指しています。また、提案の実行状況を可視化することで、チーム全体の理解を深める取り組みも進めていく予定です。

終わりに

Proposal制度の導入は、チーム運営において変革をもたらしていると感じます。既存のメンバーは全員がチーム運営やプロジェクトの進め方に対し責任を持って取り組むことができる。さらに新しく参画するメンバーも過去のプロポーザルを読むことでどのようにして意思決定が行われたかを知ることができます。先に挙げたような課題はまだありますが今後の改善を重ねてより良い制度にしていきたいなと考えています。

読んでいただき、ありがとうございました。